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気候変動と科学と社会

〈書籍メモ〉島並 良,上野 達弘,横山 久芳(2014)特許法入門

書籍メモ 知的財産法
  • 島並 良, 上野 達弘, 横山 久芳 (2014) 特許法入門. 有斐閣, 442pp.

第1章 特許法への招待

第2章 特許発明

第3章 発明者

第4章 特許取得手続

第5章 異議・審判・審決取消訴訟

第6章 特許権

第7章 権利の活用

第8章 権利侵害

 

去年の末に出た特許法の教科書。出版元の有斐閣からは、同時期に特許法関連の書籍がこの本以外に2冊出ている。

同著者による「著作権法入門」という著作権法の教科書も2009年に出ている。知的財産法(特許法・実用新案法、意匠法、商標法、著作権法)の教科書は続き物として出ることが少なくない。本書も「著作権法入門」とおおよそ同じフォーマットに従っている。

私は知財法の初学者なので内容について専門的な評価はできないけど、丁寧な説明で、細かいところも気が配られていて、教科書としての十全性は高く、学びがいのある教科書と思った。

ただ、私のような、法律を専門に勉強したことのないひとが最初に特許法を勉強するには、(「法律の教科書」だと構えてしまって、)ややとっつきにくいかもしれないと読んでいて思った。私自身も試行錯誤している最中なのだが、たぶん法学部の学生でないひとが、特許法を、一般教養の講義で扱うレベルよりはしっかり(法学部の学部の講義レベルくらいに)学びたい場合には、つぎの順序で勉強するといいと思う。

  1. 茶園成樹 編 (2013) 知的財産法入門
  2. 茶園成樹 編 (2013) 特許法
  3. 島並 良, 上野 達弘, 横山 久芳 著 (2014) 特許法入門

茶園特許と島並特許は書名だけ見ると逆のような感じがするけど、法学部以外のひとが最初の教科書を選ぶなら、茶園特許のほうがわかりやすい。たとえば「柱書」とはなにかも説明してくれる。島並特許は2冊目として使うといいと思う。特許法の平成26年改正に係る内容は、当然茶園特許には書かれていないので、島並特許で適宜アップデートするよう注意する必要はある[2015.1.12追加;茶園特許については、大阪大学知的財産センターHPに26年改正に伴う補足分が公開されていました 大阪大学 知的財産センター ]。

 

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島並他「特許法入門」(以下、島並特許)と茶園編「特許法」(以下、茶園特許)の比較。*あくまで網羅的なものではなく、気づいたことの羅列に過ぎない*

概して、茶園特許に比べ、島並特許は条文の趣旨についての解説が詳しい。解説がなされている判例の数も、島並特許の方が多い。一方、個人的に初学者が混乱する*1と思われる各制度(拡大先願や特別な出願制度など)についての説明は茶園特許のほうが詳しいところもある。

茶園特許が詳しいトピック:

拡大先願、パリ条約による優先権、国内優先権、分割出願、変更出願、外国語書面出願、審判制度の体系図、実用新案法、特許に関わる条約

 

 

*1:私の個人的な経験空の推測にすぎませんが