〈記事メモ〉Stocker and Plattner(2014)Rethink IPCC reports
- Thomas F. Stocker and Gian-Kasper Plattner (2014) Rethink IPCC reports. Nature, VOL 513, 11 SEPTEMBER 2014, 164-165
THE GROWING BURDENTWO OPTIONSExtend the cycle and reduce parallel effortsCut across working-group boundariesCAREFUL EVOLUTION
Natureのコメント記事から。著者は、StockerさんはAR5・WG1の共同議長で、Plattnerさんは同じくWG1のTSU(Technical Support Unit)の代表を務めている。実際の運営側にいた経験と、執筆者を対象にしたアンケートを基にした、いわゆる「中の人」の意見。
・増え続けている労働負担とWGのあいだの問題
IPCCによるアセスメントの必要性は依然高いが、IPCCに関わる科学者の仕事はボランティアで無償で、たいていの場合、支援もない。さらに科学者の負担はサイクルごとに増えつつあって、今後どうするべきかという問題がある。
アセスメントの対象となる文献やデータは増え続けており、IPCCに参加する科学者の負担も増加している。執筆者の所属機関は管理業務や事務仕事を減らし、IPCCのためにさく時間をつくることに協力すべきではと著者は主張する。著者によれば、執筆者は利益相反を避けるため、金銭的な報酬をうけとるべきではない。しかし、責任ある仕事なので、章を統括する筆頭執筆者はアシスタントやポスドクを雇うためのなんらかの手段を提供されるべきだ。執筆者の科学的生産性を維持できるし若い科学者を雇うこともできる。これらはコストに見合う利益であるはずだからだ。
WG間の相互交流は課題であり続けている。コミュニティが違えば、哲学もアプローチも、用語も違う。しかし、最近はWGをまたいだ特別報告書が出されていて、WGを超えた専門家のミーティングが開かれている。
・2つのオプション
1) サイクルを延長し重複する労力を減らす
著者たちはIPCCは現在の6年から、8-10年に期間を延ばすべきだと提案している。得られた時間で、WGをまたいだ問題に対処できるかもしれない。現在、そのような問題は分断されて対処されていて、結果的に矛盾や仕事のダブりがあったりしている。サイクルを伸ばすことで、他の問題の後にインパクトと緩和に取り組むことができるようになるかもしれない。現在は最新の知見を反映する時間が足りていないのだ。
著者たちはIPCCは現在の6年から、8-10年に期間を延ばすべきだと提案している。得られた時間で、WGをまたいだ問題に対処できるかもしれない。現在、そのような問題は分断されて対処されていて、結果的に矛盾や仕事のダブりがあったりしている。サイクルを伸ばすことで、他の問題の後にインパクトと緩和に取り組むことができるようになるかもしれない。現在は最新の知見を反映する時間が足りていないのだ。
生産プロセスはより複雑になっているので、改革を始めるにあたっては、より慎重さが要求されるだろうと忠告している。
2) WGをまたいだ活動の重視
特別報告書は2つのWGが関わっていて、一方が主導するような感じで進められている。より幅広い観点が必要だと著者たちは考えている。
ただ、このアプローチの欠点は包括性がなくなるリスクがあることと労働負荷が増えちゃうかもしれないってこと。
・慎重な発展へ
アセスメントに対しては他にもいろんな意見があるらしい。
IPCCアセスメントのローカライズ(地域重点化)が政策決定者から要求されている。著者は、このアプローチでは気候変動問題に対するグローバルな特性を損なってしまうのではと考えている。
Wikiタイプのアセスメントは現代的で透明性が期待できるが、IPCCの正式なプロセスのような頑強性に乏しい。
Wikiタイプのアセスメントは現代的で透明性が期待できるが、IPCCの正式なプロセスのような頑強性に乏しい。